ビジネスにおける人類学の可能性

デザインを越えて

問題解決型からさらに深い問題生成型へ

渡辺 隆史

では、私たちは人類学者比嘉夏子さんとの協働から何を学ぶことができたのか。

改めてこれまでのUCI Lab.のアプローチを振り返ってみると下の図のようなことがいえます。

  • 「できているモノをどう伝えるか」ではなく
    「どんなモノを創るか」
     

  • アイデア出しだけのスプリントではなく、
    共感リサーチとプロセスを重視したプロジェクト

​ 

  • 仮説検証のための調査ではなく
    仮説を創造するためインプットとしての調査

しかし今、その先にさらに大きな可能性があることに気づきます。つまり、これまで私たちが取り組んできたのは「仮説創造型」であるが、同時に既にある問いに答える「問題解決型」でもあるということ。これはデザインは問題解決で、アートは問題提起であるという説明のされ方とも合致します。

もちろん、ビジネスとして設計され取り組む以上、事前に「問い」があることは前提です。そして、その問いがシャープであるほど最後に得られる果実も大きい。次の工程が分かっているほど役立つ文脈の答えを創ることができる。私たちがプロジェクト設計やスタートのときに特にプロジェクトメンバー内での対話を重視するのもそういった理由からです。

でももし、より根源的で誰も気づいていないようなイノベーションを生み出したいのなら?

そのときには、「私たちは今から何を問うべきか」というところから始めなければいけないのではないでしょうか。

いわば「問題解決型」をも包括した「問題生成型」のプロジェクト。いつもいつも必要なツールではないかもしれませんが、もし「分からないことが何か分からない」1年生のような状態からスタートする場合には、あらゆる「当たり前」がない世界から問題そのものを立ち上げていく人類学者の視点や作法が示す可能性はとてもとても大きいと感じたのでした。

では、ビジネスの現場でどうすればそれほどの深さのことが実現できるのか?

この新しいテーマについては、ジャカルタのさらなる調査とともに、比嘉さんもチームとなって現在鋭意企み中です。

 

「それはまた次回の講釈で」。

Implications

 

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